2010〜14年に社会人向けに開講していた「せんだいスクール・オブ・デザイン」にて、受講生として編集・デザインに関わった冊子です。ここでは、毎回、印刷や製本の可能性を探り、普通ではない冊子を制作し、写真の2面のデザインを担当しました。
冊子などの印刷物は大きな1枚の紙にページを面付して印刷し、それを折り、断裁して作るのが通常ですが、ここで紹介するものは、広げるとほぼ菊半サイズの1枚の大きな紙になり、畳むと蛇腹折りのペラペラめくる本になっています。
志賀理江子「螺旋海岸」展レビューの面では、大きく広げても見ることができる、S字状に上から下にも進められる、360度楽しめるという特性を活かし、志賀氏の展示スケッチを背景に配置したり、紙の上から下まで続く見出しを配置したり、紙をくるりと回さないと読めないような文章の組み方をしてみたりして、製本方法の特徴を存分に感じられるデザインとしました。
もう一つの面は、メディアアート史、東北大学にも訪れたアインシュタインの日本美術観、あいちトリエンナーレなどがテーマとなっていて、きっちり真面目なレイアウトをデザインテーマとしました。一般的な冊子のようにページを読み進めていくことができます。ですが、印刷会社からの提案で、通常の4色印刷扱いとなるグラデーション印刷を行わず、印刷機のインク壺の中で2色を自然に滲ませ1色印刷扱いにするという、特殊な印刷に挑戦しているデザインになっています。